貯金なんてないよ
ギャンブル依存症になると、貯金ゼロ+借金アリが当たり前になります。
当時、パチンコ・パチスロに10年以上依存していた私もそうで、借金問題はまるで解決できる気がしませんでした。
そこで思いついたのが、この記事でお話しする「ワンコイン戦略」だったのです。
- ギャンブル依存者の貯金事情
- 問題解決のために思いついた戦略とそれを実践した結果
そもそもの話、どうして貯金もないのにパチンコに行けるのか?
これは結局のところ、借金を返済することで、またお金が借りられるようになるからですよね。
それなら、借金の返済をやめてしまえばいいのでは……
ということで生まれたのが、500円玉(ワンコイン)を貯めて借金を片づける「一撃返済計画」だったのです。
結論からいうと、この計画は失敗におわったのですが、最終的にはその経験が借金完済へとつながったと思っています。
というわけで、なぜ失敗したのかもふくめ、どうぞ最後までごらんください!
ミナト
10代で行った初めてのパチンコで大勝し、パチンコ・スロット漬けの日々へ。借金を重ね、多くを失い、10数年もの間ギャンブルをやめられなくなる。しかし他者の力も借りて依存症を克服。その経験をもとに依存からの脱出方法を発信している。併設店・専門店での従業員経験もあり。>> プロフィール詳細はこちら
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- 返しては借りてをくり返している
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ギャンブル依存症者の貯金事情
パチンコ・パチスロがやめられなくなるギャンブル依存症になってしまうと、お金の使い方に制限をかけられなくなります。
借金に手を出すようになるのは、もはや時間の問題ということですよね。
ようは、ギャンブル依存者には「貯金」なんてものはないのです。
貯金がないからこそ借金をするわけです
ちなみに、この件に関しては、SNSを活用してしらべもしました。
30名ほど調査した結果、
- 現在借金がある
- 貯金・借金の記載なし
- 過去に借金があった
これらの割合は「1:1:1」となっていました。(2022年2月調べ)
記載がなかった方も、おそらく過去に借金(=貯金ゼロ)の経験はあったと私は思っています。
お金を借りることでギャンブルができるのなら、なんの迷いもなく借りに行く。
それが、ギャンブル依存症者というものだから。
パチンコで貯金は全部無くなった借金時代
それでは、私の場合はどうだったのか? もちろん、貯金なんて10年以上ありませんでした。
学生時代、一時的にパチンコに行かない時期がありましたが、結局また行きはじめ、アルバイトで貯めたお金は全部パチンコへ。
以降は借金をするようになり、返しては借りてのくりかえしとなりました。
学生ローンがすべての始まりでした……
最大で120万円ほどまで増えた借金を返すため、朝も夜も働きつづける毎日です。
それでも不思議なもので、カードの「利用可能額」が増えてしまうと、またお金を借りてしまうのですよね。
返済したお金は自分のものだ、また借りてもいいんだ。
すこし返済がうまくいき、利用可能額がある程度あいてくると、いつも私はそのように考えてしまっていました。
「どこからもお金が借りられないからパチンコに行けない」という、絶対的な防壁が、ガラガラとぶっ壊れてしまうからです。
で、そんなときに思いついたわけです。
返済することで利用可能額が増え、そこでお金を借りてしまうのなら、そもそも借金を「返済しなければいいのでは……?」と。
あえての貯金で借金の一撃返済なるか?
借金を返済することで借入可能額が増え、またお金が借りられるようになる。
それなら、この借入可能額を増やさなければ、パチンコにも行かずに借金問題も解決できそうじゃないですか?
返済はどうするんだ?
問題はそこですよね。
でも、これをなんとかする方法があったのです。
こういうことです。
返済は必要最小限に抑えて元本を減らすことは考えず、あえてお金はべつで貯めておくことにし、機が熟したところで一気に借金を返済する。
私がひらめいたのは、ある種の逆転の発想でした。
べつで貯めておいたお金に手をつけなければ、借金はつねに限度額となっているため借り入れはできず、パチンコに行くことはできません。
けれども、お金は確実に貯まっていっているため、実質的に借金の返済は進んでいることになるわけです。
まあ、利息がアレですけどね……
そう、この方法のデメリットは、元本が減らないぶん、利息がたれ流しになるということ。
この作戦を思いついた当時は、消費者金融から勝手に限度額を下げられた(?)こともあって、借金は80万円前後にまで減っていました。
それでも、この場合だと、月に1万円強は利息でむだに消えていくことになります。
けっこう痛いな
とはいえ、当時の私は重度のギャンブル依存者です。
そのまま返済をしていても、泥沼の借金地獄から脱出できないのは、これまでの経験からしてあきらかでした。
だったら、利息を犠牲にしてでもお金を貯め、貯まったところで借金問題にケリをつけるしかない……。
まさに「肉を切らせて骨を断つ」作戦で、私は借金の完済を目指したのです!
パチンコ依存症を断つ硬貨貯金計画
ここまでの話をまとめましょう。
- 借入可能額が増えるとパチンコに行くので返済は最小限にする
- お金はべつで貯金しておき、貯まったらあとで一気に返済する
問題はお金を貯金する方法でしたが、これは100均で売っていた硬貨用の貯金箱にしました。
この作戦のかなめとなるのは、絶対に返済用の貯金には手を出さないこと。
それをやってしまうと、利息がムダに消えていくだけだからですよね
だったら、貯めるお金は、そのままではパチンコ・スロットには使えない硬貨のほうが望ましい。
そう思われたので、貯めるお金は硬貨のみとすることにしました。
最近のパチンコは100円玉や500円玉は使えないサンドのほうが多く、基本的にはお店での両替もできずに断られます。
500円玉用のものなら、MAXまで貯まれば30万円。
私の場合、借金は80万円なので、2箱までいけば問題はほぼクリアとなります。
そんなわけで、500円玉貯金で借金完済計画、名づけて「BANK MAX作戦」は開始となったのです!
500円玉貯金は思ったよりもきつかった
(じっさいに硬貨を貯めていた貯金箱)
この作戦は、500円玉をつくって貯めていくという、ひじょうにシンプルなもの。
買い物のさいはできるだけ500円玉のお釣りをもらうようにし、できたものは、せっせと貯金箱に入れていきました。
ところが、これがなかなかうまいこと進んでいきません。
意外と500円玉って増えないんだよな
そう、買い物に行く回数が1日1~2回程度なら、500円玉はできてもせいぜい1~2枚がいいところ。
加えて、たとえば900円の会計で500円玉をつくろうとすると、会計以上の1400円を出すという荒業を使わなければなりません。
これ、けっこう嫌がられるんですよね
500円玉で30万円貯めようと思ったら、600枚が必要になります。
でも、やっぱり1日でゼロ枚の日もあるわけです。
これでは、いったいいつ貯まるかわからない……。
そこで私は、途中から作戦の方針を変更し、100円玉の貯金も解禁することにしました。
お金に余裕があるときは、カードの限度額が増えるのをふせぐため、5000円や1万円を両替して貯金したりもしました。
そしてついに、貯金箱が満タンになる時はおとずれたのです。
500円玉&100円玉貯金の集計結果
さて、結局は1年近くはかかったような気がしますが、念願の「BANK MAX」の時はぶじにおとずれました。
残念なことに、貯金箱MAXの写真は撮影できなかったのですが、中身はバッチリ撮れたので、画像はそれで勘弁してもらえればと思います。
というわけで、貯金箱の中身です、どうぞ!
まさに金の山……!
これはもう、期待せざるをえませんでした。
ウン百円でウン十万円貯まる系の貯金箱というのは、全部貯めきると、だいたい表記されている数字以上になるものだからです!
それでは、こいつらを整列させてあげましょう。
10枚ずつならべていくと、このようになりました。
100円玉のほうが多いですが、それに負けないくらい、500円玉の枚数もありますね。
お金持ちだッ!
こいつはやばい。
さて、開封の儀を堪能したところで、私は総額の計算に移行しました。
集計した硬貨貯金の枚数と金額は、以下のとおりとなりました。
硬貨 | 枚数 | 金額 |
---|---|---|
500円 | 365枚 | 18万2500円 |
100円 | 395枚 | 3万9500円 |
合計は22万円ちょっと。
思っていた以上に100円玉が多く、そして100円玉は、占有していたスペースのわりにはたいしたお金にはなりませんでした。
それでも、私はひさしぶりに、まとまったお金を確保することができたのです!
加えて、なにか新しいことをはじめると、生活に変化は起きるというもの。
結局そのあいだもパチンコには行ってはいましたが、以前よりも行く回数は減っていたなど、このままいけば、借金の完済も夢ではないと思われたのです。
硬貨貯金での借金返済が失敗した理由
ギャンブル依存症による借金生活の苦しさは、返したお金をふたたび使ってしまうため、完済というゴールが見えなくなるところにあります。
「一撃返済」を目的に始まった本作戦は、このモヤを取り払うことこそが最大の目的でした。
作戦の進行率は、この時点で約25%。
それでも、じゅうぶんにモヤは晴れ、ゴールは見えてきていました。
……が、いざ貯金箱が満タンになってみると、私の心境には「ある変化」が生じたのです。
ちょっとこれは、借金の返済には使いたくないな……
たとえるなら、ゲームで育てていたキャラ(仲間)に愛着がわいてきたのに、上からその仲間を手放せ(戦力として送れ)と指令が入った……みたいな感じ。
ようは、たしかに自分でつくった借金なのですが、パチンコが理由の借金に、時間をかけて大切に貯めたお金を使いたくなくなってきたのです。
しかし、そうはいっても、借金を完済しなければ、まっとうな生活を取りもどすこともできません。
そこで、私は当初の計画を変更。
貯金箱のお金は完済後のごほうびに(ある程度は)のこすことにし、借金の返済を通常どおりおこなっていくことにしたのです。
ギャンブル依存症の前では貯金も何もなかった
その後は、毎月の給料から借金の返済と、新たにつくった2箱目の貯金を同時進行。
借金の残高が貯金額よりもすくなくなったら、一部の貯金は確保し、それで借金を完済させようと考えていました。
でも、そううまくはいかなかったわけです。
返済が進むことで利用可能額が増加していくと、それにともなって、やはりパチンコへの衝動は加速。
そしてその衝動は、大切に守ってきた貯金を、万が一の「保険」として考えさせるまでに育っていきました。
で、借金をして、また私はパチンコに行くようになったと……
このあとの展開は、もう想像がつくことでしょう。
ふたたびパチンコ店に行きだした私は、負けて生活があやうくなれば、貯金箱からお金を取り出して補填するようになります。
当初は、貯金箱のお金に手をつけることには、強い拒否反応がありました。
しかし、何度かこれをくりかえしているうちに思考は停止。
最終的には、25万円ほどにまで増えていた硬貨貯金は、すべてパチンコに消え失せてしまったのです!
借金を完済できたら、海外旅行にでも行って、好きなだけ遊びたいな……。
いっぱいになった貯金箱をながめながら、そんなことを考えたりもしていました。
けれどもその夢は、ギャンブルによってもろくも崩れ去り、こなごなに散っていったのです。
こうして、無駄な利息をたれ流し、犠牲を払って得た貯金もすべて消え、一撃返済計画は幕を閉じました。
今回のまとめ
- 硬貨貯金は利用限度額を増やさないという面では有効
- 努力して貯めたお金は使用にためらいが生まれる
- いずれにしても借金を含むギャンブル問題の解決が先
この500円玉貯金による返済計画は、結局は失敗してしまいましたが、多くの収穫(気づき)はありました。
まずはこれです。
努力して貯めたお金は、その努力に見合ったものに使いたくなる。
パチンコでも買い物でも、使われるお金自体がもつ価値は一緒です。
でも、使う対象によっては、使いたいと思う気持ちやありがたみ、ようは「幸福度」がまるで変わってくるものだと思います。
私の場合、最初はパチンコに行こうとしなかったのは、結局は依存症状さえなければ、パチンコは人生に必要ないものだったからこその話でしょう。
つづいてはこれです。
依存症がある状態では、貯金をしてもパチンコへの資金になるだけなので、借金をふくめたギャンブル問題を解決することが先決。
最初だけ貯金・返済がうまくいったとしても、ギャンブル依存症があるのなら、そのお金に手をつけてしまうのは時間の問題のように感じられます。
だからこそ、より強力なパチンコに行けないようにする環境をつくるのが重要だと感じました。
パチンコさえ行かなければ、返済は勝手に進みますからね
また借金問題は、借金自体を減らす方法もあるなど、まちがいのない手段はいくらでもあります。
パチンコをやめる方法と併用すれば、かならず完済できるものなので、ぜひ関連記事もあわせてごらんいただければと思います。
こんな私でもギャンブルの借金は完済し、消費者金融とはオサラバできたので、ぜひトライしてみてくださいね。
パチンコの借金を返済する方法
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