パチンコやスロットは、そう簡単には勝てないですよね。
だからこそ、「もっと当てたい、出したい」とハマっていってしまうのですが、じつはこれ、心理学でいう「部分強化」と深い関係があります。
部分強化とな……?
あまり聞き慣れない言葉ですが、これを知っておくと、つぎのことがわかるようになりますよ。
- パチンコをやる人の心理、パチンコにハマる仕組み
- パチンコに行く人がギャンブルに依存してしまう理由
さきにいうと、部分強化というのは、ランダムででてくるボーナスみたいなものです
そしてこれが、パチンコなどの「ギャンブルにハマる心理」のカギを握っていました。
本記事では、人がパチンコに行く心理を、心理学で有名なハトの実験+この部分強化から解き明かしていきます。
最後まで読んでもらえれば、きっと、今後の行動を変える力になってくれると思います。
具体的なギャンブル依存への対策もあわせて紹介するので、ぜひこちらも参考にしてください!
ミナト
10代で行った初めてのパチンコで大勝し、パチンコ・スロット漬けの日々へ。借金を重ね、多くを失い、10数年もの間ギャンブルをやめられなくなる。しかし他者の力も借りて依存症を克服。その経験をもとに依存からの脱出方法を発信している。併設店・専門店での従業員経験もあり。>> プロフィール詳細はこちら
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パチンコにハマる心理と仕組み/ギャンブルと心理学
それでは、人がパチンコにハマる心理や、その仕組みを解説していきます。
私たち人間をふくむ動物は、行動したあとで報酬や罰などの刺激(自発した反応)を受けるとそれを学習し、行動を起こす頻度に変化を生じさせます。
わかりやすくたとえると、
「自宅の扉にはレバーとボタンの2つがついていて、レバーをひねると体に電流が流れ、ボタンを押すと扉がひらく」
となると、だれも電流が流れるレバーなんてさわらなくなりますよね?
そりゃそうだ
それで、こういったこと(報酬や罰→行動の変化)を、実験で証明しようとしたものがあります。
今回の「部分強化」がでてくるやつですね
1898年には、アメリカの心理学者、エドワード・ソーンダイクが先駆的な実験をはじめました。
なかでも有名なのが、1930年代からおこなわれた、おなじくアメリカのバラス・フレデリック・スキナー(B.F.Skinner)による実験です。
スキナーは、つぎのことを実験するために、「オペラント条件づけ箱」というボックスを発明。
実験すること
- 報酬や罰によって動物は学習し、
- それで自発反応(行動)が変化する(これをオペラント条件付けという)
これが、現在でいうところの「スキナー箱」です。
スキナー箱のハト実験を簡単に解説
スキナー箱? なんだそれは
このスキナー箱とは、以下のものをいいます。
- 上下左右が壁によって仕切られた脱出不可能な箱
- そのなかにレバーやボタンなどの装置が取りつけられている
- その装置を押すとエサが出てくる仕掛けになっている
ようするに「給餌装置付きの箱」のことです。
では、この箱を使ってスキナーはなにをしたのか?
なんと彼は、スキナー箱の中に、おなかがすいたハト(やネズミ)を入れたのです!
……! 箱の中に動物を閉じ込めたわけか
そしてこの「禁断のハト実験」は、以下の流れで進行&結果がでていきました。
- おなかがすいたハトをスキナー箱の中に入れる
- スキナー箱の中にはつついたり、押したりすると給餌装置が作動するボタンがついている
- 箱の中に入れられたハトは、最初はでたらめに動いてボタンを押さない
- しかし偶然ボタンを押すことがあり、そうするとエサが出てくる
- ハトが偶然ボタンを押す → エサが出てくる、がくりかえされる
- ハトはボタンを押せばエサが出てくることを知り、ボタンを押してエサを出すようになる
この実験のポイントは、つぎのとおりです。
はじめのうちは、ハトはボタンを押すとエサが出てくることを知らない
ところが何度か偶然が重なると、ハトはボタンを押せばエサが出てくることを学習し、みずからボタンを押すようになる
なお、この自発的な反応(行動)をオペラント反応、またはオペラント行動とよびます。
行動の直後にあたえられる報酬(エサ)などの刺激は「強化子」。
強化子をあたえる操作(エサをあげる)は「強化」というので、ちょっとだけ覚えておいてください。
連続強化と部分強化&実験で判明した消去抵抗
ハトがボタンを押し(オペラント反応)、エサ(強化子)が出てくる操作を「強化」とよぶ、と
ここまでの話ですね。
それでこの強化には、つぎのとおり、「連続強化・部分強化」の2種類があります。
- 連続強化とは
オペラント反応1回につき強化する操作、つまり、ハトがボタンを押すたびにエサが出てくる操作のこと。
- 部分強化とは
オペラント反応の回数や時間によって強化する操作、つまり、ハトがボタンを押しても毎回エサが出てくるわけではなく、ランダムでエサが出てくる操作のこと。
毎回エサが出てくるのが「連続強化」で、ランダムで出てくるのが「部分強化」です。
またスキナー箱実験の結果では、つぎのこともわかりました。
条件づけ(ボタンを押すとエサが出てくる)のあとで強化(エサを出す)をやめると、ハトの反応はしだいに生じなくなって「消去(ボタンを押さなくなる)」する
エサが出なくなれば、ハトもボタンを押さなくなるわけですね
ところが、ここであるイレギュラーが起こりました。
なんと、ハトにあらかじめ「部分強化」で条件づけをしておくと、
強化(エサを出す)をやめても反応は消えず、反応(エサを出そうとする)が持続する
ことがわかったのです!
……どういうことだ?
ようするに、
「ボタンを押すとランダムでエサが出てくる」
これを知ったハトは、エサが出なくなってからも、エサがほしくてボタンを押しつづけたということ。
エサをくれぇぇ!!
と、いいかえれば、ボタンを連打するのをやめられなくなってしまったのです!
このエサが出なくなってからも出そうとする持続性は「消去抵抗」といいます。
オペラント条件付けとギャンブルの関係
さて、情報が出そろったところで、ここまでの話をいったんまとめましょう。
- 実験で「スキナー箱」に入れられたハトは、ボタンを押せばエサがもらえると知り、みずからボタンを押すようになった
- その後、ボタンを押してもエサを出さないようにすると、ボタンを押すたびにエサをもらえていたハトはボタンを押さなくなった
- 一方、ランダムでエサをもらえていたハトは、それでもまだエサが出てくるかもしれないと信じ、ボタンを押しつづけた
私がなにをいっているかは、もうお気づきですよね?
- ボタンを押す
- レバーを叩く
- ハンドルをひねる
そうすると、ランダムで出てくる報酬(ボーナス)という名のエサ。
渋い調整によって、報酬(出玉)なんてほとんど出ないにもかかわらず、台に座ってギャンブルをつづける私たち人間……。
そう、パチンコは、現代版スキナー箱、いや人間版スキナー箱なのです!
……!!!
なぜ、人はパチンコなどのギャンブルにハマってしまうのか?
それは、ギャンブルによって、以下のような「条件づけ」がすんでいるから。
- 当たればお金が増える
- 増えたお金でぜいたくができる
- 好き放題遊べる
そしてその条件づけが、
- たまにしかこない当たり
- まれにしかおとずれない特化ゾーン
- めったに出ない大量出玉
と、反応が持続しやすい「部分強化/ランダム」のほうで条件づけられてしまっているからなのです!
箱の中に入れられたハトがかわいそう……
そう感じるかもしれません。
でも、考えてもみてください。
- 両サイドにじゅうぶんな間隔もなくならべられたパチンコ台
- そこに、それぞれが窮屈そうに座っている
- 目の前にある台のボタンなりを、1日に何千回とひたすら押しつづける
そんな、私たち人間のすがたを。
私たちも、空を飛ぶ自由を奪われ、せまい空間に閉じ込められたハトと、じつはたいして変わらないのはないでしょうか?
パチンコに行く人の依存の心理(部分強化の例)
このとおり、パチンコによって「条件付け」がすんだ人は、いってしまえばスキナー箱の中に入れられたハトとおなじことになっています。
ただ、まだしっくりこないかもしれません
そこでここでは、部分強化を「現代のパチンコ」にたとえて、パチンコに行く人のハマる心理を考えてみましょう。
- 新台価格の高騰
- 遊技人口の激減や設備投資の増加
- 景品をいくつかの業者間でまわす「三点方式」の手数料
など、パチンコ業界を取り巻く環境は、年々きびしさを増しています。
かつてはパチンコで勝てた時代もたしかにありました。
だからこそ、いわば勝てる「連続強化」で条件づけられた人たちは、もう以前のようには勝てないことをさとると、つぎつぎとパチンコ店からは去っていきます。
ところがどうでしょう
- 勝てる時代でも負けてきた人
- そういった時代のあとからやりはじめた人
などは、ごくまれに勝てる「部分強化」で条件づけられてしまい、パチンコから抜け出せません。
プレーヤー側がうるおっているわけでは、けっしてないでしょう。
令和に入って実施された調査でも、「単身世帯の3割、4割が貯金ゼロ」という結果もあるなど、景気はずっとよくないままです。
それでも、
- いつかまた勝てる
- いつかまたごほうびが出てくる
そう信じ、私たちはパチンコ店に行く。
新たなオアシスの可能性は見ず、飢えても、渇いても、ただひたすらにボタンを押しつづける。
なぜなら、いつかふたたび、お金(エサ)が出てくると信じているから……!
これがパチンコにハマる心理です
パチンコはそれ以外にも、当たりの確率が絶妙に設定されているなど、人がハマる「心理的な仕掛け」もほどこされています。
最初からハマるようにできていて、なおかつそれは「時代とともに凶悪化してきている」といってもいいのではないでしょうか?
部分強化を逆手に取る方法はあるか?
ここまでのとおり、パチンコは人がハマる心理を突いてきます。
やりつづけていれば、パチンコ店に閉じ込められるのは時間の問題だといえるでしょう。
とはいえ、
いちどハマってしまえば、もう二度と抜け出せないのだろうか……
というと、けっしてそんなことはありません。
パチンコが使ってくる「部分強化」を知り、それを逆手に取ることで、ギャンブルへの依存を断ち切れたりもするからです。
で、その方法はなんだ?
これは「達成がむずかしいことに挑戦してみる」ことだと、じっさいにパチンコから抜け出せた私は考えています。
たとえば、語学学習といった勉強の場合で見てみましょう。
- 勉強を始めたてのころは、まったくわからない、まるで聞き取れない
- ところが、勉強をつづけているうちに「このフレーズはなんかわかった」が起こる
- ためしに海外に行ってみたら「意外と言葉が通じた」なんてこともある
このように、無理だと思っていたものが、ほんのちょっとだけ進展する。
そういったまれの報酬が部分強化となり、モチベーションをアップさせてくれるなど、パチンコで勝つよりも大きな感動を生んだりもするのです。
でもそんな、いきなり勉強なんてしないですよね?
そう、病的なパチンカーになると、しばらくほかに興味を持てなくなってしまうので、これはむずかしい。
そこで最後に、より実践的で、トライしやすいものを3つ紹介していきます。
1. パチンコに行かない努力をする
パチンコ店という箱の中から抜け出したいのなら、まずは「パチンコに行かない努力」をしましょう。
そんなのいつもやってるよ
と、思われるかもしれませんが、私が思うに、多くの人はやっているのではなく思っているだけ。
やめようと頭のなかで考えているだけで、じつはなにもしていないからこそ、だいたい3日もすればまたパチンコに行ってしまうのです。
パチンコ店に行かないようにする方法は、たとえばつぎのように、
すぐにできるものから強力なものまで、いくらでもあります。
そういった方法は当ブログでも紹介しています
1週間に1回はかならずパチンコに行っている。
そんなときは、最初の1週間を耐えられれば、ふだんならまず感じられない達成感を得ることもできると思います。
さらには、それが自身への報酬として「部分強化」となり、禁パチンコの持続を助けてくれもするでしょう。
なにから始めればいいかわからないときは、まずは危険な休日から行動を起こしてみてください。
休日は「昼寝」をして、パチンコ店に行く時間を「強制的に消去」する方法とかは、手軽でかなり有効ですよ。
2. 借金がある場合は返済生活を工夫する
借金があるのなら、返済のしかたを工夫してみましょう。
借金があるとないとでは、パチンコをやめるための難易度が大きく変わってきます。
その存在が、私たちをパチンコ店へといざなう、強力な誘引剤となるからですよね。
カードがあると簡単にお金を借りてしまうんですよね
だからこそ、借金がある場合は、それをさっさと完済しなければなりません。
ただ、返済生活はほんとうにつらいので、それを継続させるには、なんらかのごほうびがなければむずかしいです。
そこで、こんなのはどうでしょうか?
- 毎月27~31日のあいだにトランプのカードを2枚引く
- ジョーカーは0、1~13はそのままの数字でカウントし、合計の数字を出す
- カードの合計である1~26日のどれかは、好きなことやしたいこと(もちろんギャンブルはなし)にお金を使う
がんばった自分へのごほうびをランダムにすることで、部分強化の要素を踏襲し、毎月おとずれるボーナスタイムを日々目指す。
これで、つらい返済生活をなんとか乗りきるのです。
なかなか面白そうだな
なにかを継続させるには、息抜きは絶対に必要です。
これがうまくできないと、たいていは借金の返済は失敗し、またパチンコに行ってしまうので、
自分への報酬を用意するなどして失敗をふせぐ
このようにして、借金がある場合は、ぜひとも完済を目指してください。
返済が苦しくてそんな余裕もないときは
もっとも、借金の額によっては、そんな悠長なことはいっていられないと思います。
ほとんど利息だけしか返済できていない……とかだな
高額な利息が発生するなど、借金はあるだけでお金が減っていきます。
ですから、借金の返済がうまく進まないときは、以下の記事を参考に、状況に応じた解決策をとってみてください。
パチンコの借金を最短で完済する方法を「金額別」でまとめてあります。
借金は、それ自体(または支払総額)を減らして返済をラクにする手段もあって、その方法もあわせて紹介しています。
パチンコの借金は、先延ばしにすれば、問題は大きくなっていくだけです。
ただ、借金問題は、軌道に乗りさえすれば、一気に解決まで進んでいくものだと感じます
返済がむずかしいときは、借金を減らしたり、場合によっては借金自体をなくすこともできます。
そういったものも活用すれば、かならずや問題は解決していけるので、ぜひトライしてみてください。
借金問題は解決できると、「二度とパチンコで借金はしない!」と、あきらかに意識も変わっていきますよ。
3. 自力でお金を稼ぐことに挑戦してみる
そして最後に、「自力でお金を稼ぐのに挑戦する」方法です。
仕事よりも自分の時間を優先したい……
そんな感じで現代は大副業時代に突入していますが、その流れで「副業をはじめる」のもおすすめです。
ここでは、ブログの場合でお話しします。
ブログを運営してお金をかせぐのは、はっきりいって簡単なことではありません。
「1年間はほぼ無給を覚悟したほうがいい」ともいわれるほど、最初は無理としか思えないものだからです。
正直、私もいばらの道を歩んできました
ただ、そんななかでも、ちょっとした進展があったりもします。
さらには、とんでもない「まぐれ噴き」があることも事実です。
それで、そういった日々の進展や偶然が「部分強化」となって、パチンコよりも副業のほうにのめり込ませてくれたりもするのですね。
変な話、私はこの条件づけによって、
- またブログが噴くかもしれない
- これはとんでもない可能性があるぞ
と、おなかがすいたハトのように、パソコンのキーボードを日々叩きつづけています。
これぞまさに、部分強化のたまものといえるのではないでしょうか?
副業としてのブログは、やろうとする気さえあれば、すぐにでも立ち上げられます。
初期投資も1万円以内に余裕でおさえられるので、気軽にスタートできますよ。
パチンコに行かないリハビリ生活にもちょうどいいので、これもおすすめの対策方法です。
本業越え(収入的な意味で)も夢じゃない……!
その他の副業まとめ
今回のまとめ
- 部分強化はランダムで出てくる報酬のこと
- 部分強化によって条件づけられた反応は持続する
- 部分強化を逆手に取ってパチンコへの依存を克服しよう
スキナー箱のスキナーは、この有名な実験結果にもとづき、「行動分析学」という学問体系をも創始しました。
この行動分析学は、医療・ビジネス・家庭など、さまざまな現場で成果を上げている学問です。
なかでも「応用行動分析」という分野は、ギャンブル問題をふくむ精神的な病気にたいしても活用されています。
なぜ私たちはパチンコ店に行くのか。
本記事でも解説したような「ギャンブル問題を解決するカギ(根本の理由)」はここでも知れます。
行動分析学は入門書も出ているので、興味があったらぜひのぞいてみてください。
また先のとおり、パチンコ以外で達成感を得られれば、それが部分強化となって禁パチンコを助けてくれます。
そして、このような部分強化を生むのは例外なく、なにかに挑戦して、なにかを達成できたときだけです。
挑戦なくして報酬を得ることはできません
それに、報酬はパチンコ店の中にだけあるわけではないですよね。
そう、パチンコ店の外のほうにこそ、たくさんのエサがあるんですよ。
そんなわけで、だ
パチンコ店という「箱」のなかに閉じこもるのはもうおわりにして、これからは、自由に外を飛びまわる生き方をしませんか?
パチンコをやめる11の方法
パチンコに潜む心理的な仕掛け
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